組織経営(会社)には参画すれども自分経営が疎かになっているリアル

2022年4月8日

先日、友人と「働くってさ・・・」をテーマに学生時代さながら午前二時近くまで話し込んでいたのですが、その際に「会社と人を対比させて考えると面白い!」と気づきました。
具体的には、「会社経営」と「自身のキャリア・働き方」を対比的に描くことで、自分のキャリアを俯瞰して振返ることができそう・・・ということです・・・。
たとえば・・・

①会社にはパーパスがあるけど、自分(自社)にはパーパスがない
②会社には経営戦略があるけど、自分(自社)には戦略がない
③会社には評価制度はあるけど、自分(自社)には評価制度(自己評価指標、評価タイミング)がない

などなど・・・
組織経営(会社)には参画すれども自分経営(キャリア・働き方)が疎かになっていませんでしょうか?

ということで、今回は、最近HR界隈でMVV(Mission Vision Value)を追い越し盛り上がりを見せているPurpose/パーパスを基に自身のキャリア・働き方について考えてみたいと思います。

そもそも「パーパス」って何?

一般的にはパーパス=(組織の)存在意義と訳されることが多いです。

一方で、日本へのパーパス導入の第一人者、名和高司先生(パーパス経営: 30年先の視点から現在を捉える)によると以下のような定義となるそうです。

- Purposeは「存在意義」と訳されることが多いですが、それでは少し理屈っぽいですし、よそよそしいものに感じます。わたしは「志」と読み替えています。あくまでも企業の内部から湧き出てくる強い思いこそがパーパスであってほしいという願いからです - パーパス経営: 30年先の視点から現在を捉える

「志」といわれると途端に気恥ずかしくなるのですが、「あなたの会社の存在意義は?」と問われるよりも、まだしっくりときますし、考えやすいです。

なぜ企業はパーパスを設定するのか?

では、なぜ企業は「パーパス」を設定し、浸透させたいと思うのでしょうか?

私の知りあいの会社社長は以下のように答えていました。

「(パーパスを設定することで)自社がどこに向かっているのか?自社が何のために存在しているのか?を示すことで、従業員に自分の仕事が将来、何のためになるのか、お客様にどんな価値を提供するのかを感じてほしいと思っています」

つまり、その裏返しのことが起こっているとも取れます。

「自社がどこに向かっているのか?自社が何のために存在しているのか?を示さないと、従業員が自分の仕事が将来、何のためになるのか?お客様にどんな価値を提供するのか感じることが難しくなる」

確かにこの状態では、よいモノ・サービスを生み出すのは難しいということは想像に難くありません。

あなたは、組織のパーパスを知っていますか?

あなたは、自分が働いている企業の「パーパス」を聞かれて答えることができますか?

パーパスとして並べられた「言葉」ではなく「志」として、自社がどこに向かっているのか?自社が何のために存在しているのか?説明できますか?
「言葉」を答えられたとしても、「志」としてこたえることができる人は少ないのではないでしょうか?最近パーパス(浸透)を軸としたコンサルティングサービスを提供する会社は増えており、それはつまり、浸透が難しい・・・ともいえるかもしれません。

ところで、あなたは、組織のパーパスを大切にしなければならないと思っていますか?

あなたのパーパスが先か?企業のパーパスが先か?

さて、長くなりましたが本題です。企業のパーパスについて説明してきましたが、翻ってあなたは自身のパーパスを持っていますか?「言葉」ではなく、「志」として説明することができますか?

ここでは、説明の可否よりも、パーパスの「優先順位」について私の考えを述べさせていただき、今回のコラムを閉じたいと思います。

長らく日本企業では、「企業の「志」のためにあなたの時間・能力をフル活用して働いて下さい。その代わりに給与、福利厚生、成長機会として海外赴任経験など提供しますよ」といった、企業のために個人が頑張ることが当たり前の文脈になっていたように思います。(滅私奉公型)
そろそろこのメンタルモデルをUpdateするタイミングなのではないでしょうか?

 「企業が志を実現するために、個人が支援する」
           ↓
 「個人が志を実現するために、企業が支援する」

私たちは何のために働くのか?何のために会社という組織で働くのか?

個人のパーパスが明確でないと、ついつい、無自覚、無意識に滅私奉公型メンタルモデルになってしまうことが多いのではないでしょうか?
もっと、自分の「志」を大切にしてもいい時代になってきたのではないでしょうか?

会社のために一生懸命働いているなら、自分のCareも一生懸命大切にしたいものです。

働くってさ、そういうことだと思う。

筆者紹介

自動車メーカー AssistantMgr

岩本 洋太郎

経歴:

自動車メーカーでHRとして仕事をしています。仕事内容は新卒採用です。年間200~300名ほどの採用を行っています。一方で、人材育成・組織開発への強い興味関心から友人の企業の支援も行っています。(趣味と経験値を積むべくプロボノ的に行っています)