働く障害者はどのような職場に多いのか

2021年5月31日

日本では障害者雇用促進法により、従業員数45.5人以上規模の企業は障害者を2.3%雇用する義務になっています。
厚生労働省の『令和2年障害者雇用状況の集計結果』によると、民間企業(45.5人以上規模の企業)に雇用されている障害者の数は578,292.0人で、前年より17,683.5人増加(前年比3.2%増)し、17年連続で過去最高となりました。働く障害者はどのような職場に多いのでしょうか。
厚労省は5年ごとに障害者雇用の実態調査結果を発表しています。最も新しい平成30年のデータから見ていきます。

身体障害者

身体障害者が多く働いている職場は、産業別にみると、卸売業、小売業で 23.1%と最も多く、次いで製造業 19.9%、医療、福祉16.3%、サービス業14.6%、運輸業、郵便業7.9%となっています。

事業所規模別にみると、5~29 人規模で 37.0%と最も多く、次いで 30~99 人規模 28.9%、100~499 人規模 21.6%、1,000 人以上規模7.0%、500~999 人規模5.5%となっています。

職業別にみると、事務的職業が 32.7%と最も多く、次いで生産工程の職業20.4%、専門的、技術的職業13.4%、サービスの職業10.3%、販売の職業9.6%となっています。

障害の種類別にみると、肢体不自由が 42.0%を占め、次いで内部障害が 28.1%、聴覚言語障害が11.5%となっています。

障害の程度別にみると、重度(1・2級)が 40.4%を占め、次いで中度(3・4級)が 33.6%、軽度(5・6級)が 16.2%となっています。

知的障害者

知的障害者が多く働いている職場は、産業別にみると、製造業で 25.9%と最も多く、次いで、卸売業、小売業 23.7%、医療、福祉 21.9%、サービス業14.0%、宿泊業、飲食サービス業5.2%となっています。

事業所規模別にみると、5~29 人規模で 45.4%と最も多く、次いで 30~99 人規模 30.0%、100~499 人規模 18.4%、500~999 人規模3.3%、1,000 人以上規模3.0%となっています。

職業別にみると、生産工程の職業が 37.8%と最も多く、次いでサービスの職業が 22.4%、運搬・清掃・包装等の職業が16.3%、販売の職業が12.2%、事務的職業が7.5%となっています。

障害の程度別にみると、重度が 17.5%、重度以外が 74.3%となっています。

精神障害者

精神障害者が多く働いている職場は、産業別にみると、卸売業、小売業で 53.9%と最も多く、次いで、医療、福祉 17.6%、サービス業 9.4%、製造業6.2%、宿泊業、飲食サービス業3.4%となっています。

事業所規模別にみると、5~29 人規模で 70.5%と最も多く、次いで 30~99 人規模 15.9%、100~499 人規模 9.2%、500~999 人規模2.4%、1,000 人以上規模2.1%となっています。

職業別にみると、サービスの職業が 30.6%と最も多く、次いで事務的職業25.0%、販売の職業19.2%、生産工程の職業12.0%、運搬・清掃・包装等の職業7.6%となっています。

精神障害者保健福祉手帳の等級で最も多いのは「2級」で 46.9%、最も多い疾病は「統合失調症」で31.2%となっています。

発達障害者

発達障害者が多く働いている職場は、産業別にみると、卸売業、小売業で 53.8%と最も多く、次いでサービス業 15.3%、医療、福祉 11.6%、製造業9.2%、運輸業、郵便業2.2%となっています。

事業所規模別にみると、5~29 人規模で 58.5%と最も多く、次いで 30~99 人規模 28.3%、100~499 人規模 9.9%、1,000 人以上規模2.0%、500~999 人規模1.3%となっています。

職業別にみると、販売の職業が 39.1%と最も多く、次いで事務的職業29.2%、専門的、技術的職業12.0%、サービス業10.5%、運搬・清掃・包装等の職業5.5%となっています。

精神障害者保健福祉手帳の等級で最も多いのは「3級」で 48.7%、最も多い疾病は「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害」で 76.0%となっています。

障害種別の求職者と就職件数

いま、職を求めているのはどのような障害の人が多いのでしょうか。厚労省による『令和元年度 障害者の職業紹介状況等』を元に見ていきます。

新規求職申込件数の推移(障害種別)

新規求職申込件数は10年間において、身体障害者が横ばい、知的障害者が微増なのに比べ、精神障害者は一貫して伸びています。

就職件数の推移(障害種別)

就職件数は10年間において、身体障害者が微増、知的障害者は2倍に増えているのに対し、精神障害者は5倍近く伸びています。

いま障害者雇用の求人を出すと、精神・発達障害の人からの応募が多くなる、と考えるのが正しいでしょう。

調査結果から現状を把握することの大切さ

初めて障害者雇用に関わることになったが、何を参考にして進めたらいいのか、分からない方もいるのではないでしょうか。
そこでまず、働く障害者の現状を的確に把握することが大切です。厚生労働省職業安定局が発表している統計や、大手転職サイトが発表しているアンケート結果などが参考になります。
現状を的確に把握し、イメージにとらわれないアクションをとっていきましょう。

この記事が参考となれば幸いです。


筆者紹介

リンクトイン日本2020「最も人を惹きつけるクリエイター10人」/フリーライター

長谷ゆう

学校時代から対人関係に困難さを抱え、大学生で広汎性発達障害と診断される。発達障害や障害者雇用の知見を活かして取材・執筆・翻訳。ダイバーシティ、社会貢献、デジタルトランスフォーメーション、キャリア、SNSに関心。2020年にビジネスSNS・リンクトイン日本版「最も人を惹きつけるクリエイター10人」。