ハラスメント相談担当者向け コラム ②
相談担当者の心構えとスキル(1)

2021年8月30日

令和2年6月パワーハラスメント関連の法制化を受け、企業でもハラスメント相談を受ける機会が増えているのではないかと思います。相談対応が適切でないと、相談した人もストレスを抱え続け、相談担当者も問題が積み上げられていき、皆がどんどん辛くなってしまいます。このコラムでは、相談担当者の視点で、ハラスメント相談対応を軸に、職場環境が良いものになるための準備、工夫等についてお伝えします。
第2回は、相談担当者の心構えとスキルについてのコラムをお届けいたします。

相談担当者が「その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応」するためには

皆さんの職場で、ハラスメント相談窓口を設けられていると思いますが、相談担当者はどのように決めているでしょうか。

専門家ではなく、社内異動等で担当することになった方もいらっしゃるのではないかと思います。関連指針*には、相談窓口の担当者が「その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応」とありますが、まずはどんな心構えやスキルを持てば良いのか、説明したいと思います。

*パワーハラスメント関連指針 令和2年厚生労働省告示第5号

 セクシュアルハラスメント関連指針 平成18年厚生労働省告示第615号(最終改正:令和2年)

 妊娠、出産等関連ハラスメント関連指針 平成28年厚生労働省告示第312号(最終改正:令和2年)

育児休業等 ハラスメント関連指針(抄) 平成21年厚生労働省告示第509号(最終改正令和2年)

相談担当者に求められる心構えとスキル

ここでは、ハラスメント関連指針からエッセンスを抜き出し、それぞれにどのような心構えとスキルが求められるのかを確認してみましょう。

前述した心構え、スキルの相関を表すと下記のような形になります。

最後に

次回は、相談担当者の心構えとスキル(2)として、各項目について、詳しく説明したいと思います。

筆者紹介

熊井HRサポート社会保険労務士事務所 代表

特定社会保険労務士・日本産業保健法学会会員

公益財団法人 21世紀職業財団ハラスメント防止コンサルタント

熊井 弘子 Hiroko Kumai

略歴

主に企業の依頼に応じて、第三者機関調査として、各地でハラスメント等の事実確認を実施。防止/相談対応/事後措置、派生するメンタルヘルスの問題への対処、中立的な第三者機関の紛争解決案の提供を主業務としている特定社会保険労務士。開業前は、複数企業(日系・外資系)の人事部におり、採用、給与、システム、評価、制度等に加え、ハラスメント関連と衛生管理者としての事業内産業保健スタッフ等業務(衛生委員会、休職復職フォロー、メンタルヘルス等)の業務も長く担当。実務経験をベースに、最新の情報を更新しながら、働く人、それを支える人事部門のスタッフを含むすべての方の就業環境を充実させるサポート機関を目指しています。