テレワーク状況に関するアンケート調査レポート

2021年7月20日

今年4月に実施しました管理職・非管理職を対象としたテレワーク(在宅勤務)における社内コミュニケーションに関する意識調査について、その調査結果を公開いたします。

1、 現在貴社ではテレワーク(在宅勤務)を実施していますか?

2、テレワークを実施している方へ伺います。テレワークの実施によって、社内のコミュニケーションに影響はありましたか?

各調査内容について、1の質問において、在宅勤務の実施が55.1%と半数を超えています。その中で、59.8%が「コミュニケーションが難しくなった・やや難しくなった」と感じています。オフィスの環境とは異なるという物理的な難しさと、オンラインでのコミュニケーションに慣れていないという状況が混在していることが要因と考えられます。

3、2において「難しくなった、やや難しくなった」と回答した方へ伺います。
どんなところに難しさを感じますか?(複数回答)

各項目において、総じて管理職のほうが難しさを感じている割合が高いことが判りました。
管理職は、業務進捗への責任と部下を正しく評価する立場として、コミュニケーションを通じて全体把握を求めることに対し、非管理職は「悪い部分(評価の下がりそうなこと)は見て欲しいくない」といった心理が現れているものと考えられます。

4、2において「難しくなった、やや難しくなった」と回答した方へ伺います。
今後どんな施策があれば有効と考えますか? (複数回答可)

管理職のほうが施策導入への関心度が高く、非管理職よりも高い危機意識を持っていることが判ります。ただし、「その他のコミュニケーションを導入」という回答も多いことから、既存の施策ではなく、さらなる有効な施策を求める様子が伺えます。

5、【管理職】テレワークは部下のメンタルコンディションにどのような変化をもたらすと思いますか?
【非管理職】テレワークは自身のメンタルコンディションにどのような変化をもたらすと思いますか?

①孤独感や疎外感を感じる気持ち

孤独感や疎外感が「高まる・やや高まる」と回答した人が多いものの、非管理職の回答は「変わらない」という回答が60%を超えています。管理職が部下に対して想定しているテレワークへの懸念に比べ、乖離がある様子が伺えます。また、管理職は部下の孤独感や疎外感といった変化について、把握する必要性を感じているため、「高まる・やや高まる」といった回答傾向がある可能性も考えられます。

②仕事のプロセスや成果が適正に評価できないのではないかという不安

管理職が部下に対して「評価できないのではないかという不安」への意識が高い回答となりました。非ただし、管理職の60%以上が適正に評価されることに「変わらない」と回答している反面、約30%は不安が「高まる・やや高まる」と回答しています。テレワーク下での評価においては、全体として不安視する意識がありつつ、評価をされる側よりも、評価する側のほうが課題が感じている状況であると言えます。

6、【管理職】テレワークは部下の方の生活にどのような変化をもたらすと思いますか?
【非管理職】テレワークは自身の生活にどのような変化をもたらすと思いますか?

①精神的な健康度について

精神的な健康度においては、非管理職は「やや低下する・低下する」よりも「向上する・やや向上する」が多かったのに対し、管理職は「やや低下する・低下する」が「向上する・やや向上する」よりも多い結果となりました。管理職は部下のコンディション低下を気にしていることが伺えます。

7、【管理職】テレワークは部下の方の生産性にどのような変化をもたらすと思いますか?
【非管理職】テレワークは自身の生産性にどのような変化をもたらすと思いますか?

①業務や作業の能率・効率

業務や作業の効率について、非管理職は「向上する・やや向上する」と回答した人と「やや低下する・低下する」と回答した人がほぼ同数となりました。これに対し、管理職は部下の生産性が「やや低下する・低下する」という回答が約35%となっており、不安傾向が高いことが伺えます。 コミュニケーション量が減ることにより、部下の業務進捗に対する把握や管理だけでなく、生産性向上に対する働きかけの難しさが回答に影響している可能性も考えられます。

②仕事への責任感や成果への意識

管理職、非管理職のいずれも約60%が「変わらない」と回答した一方、全体の約30%が「やや低下する・低下する」と回答しました。組織内のコミュニケーションが減少することにより、仕事に対する意識だけでなく、企業及び組織への帰属意識の低下にも繋がる可能性も考えられます。

総評

今回の調査結果を総合的に見ると、テレワーク環境においては、管理職が部下の状況把握に課題を感じている傾向が伺えます。

管理職は、部下を評価する立場にあり、人事制度にプロセス評価、コンピテンシー評価を取り入れている企業も多いため、アウトプットだけでは判断できないことも背景にあると考えられます。

一方の非管理職は、「ちゃんと上司に見てもらいたい」という意識が見られるかと予測をしていましたが、その点に対する危機意識は希薄な傾向がありました。非管理職は、テレワーク環境においても問題なく業務遂行できているという意識が現れていますが、管理職はそれらの状況を「正しく把握できていないのではないか」という危機感を持っているというギャップも伺えます。

この点から、組織全体として歩調が合わせられるのか、エンゲージメントを維持できるのか、またコミットメントに到達できるのか、という点が人事やマネジメント層の課題となりそうです。

テレワーク環境において一人一人がより自立的に業務遂行できる体制を整備する必要がある反面、企業はこれまで以上に従業員のコンディション把握を行う必要性が高まりそうです。 現在は、コロナ禍の対策として臨時的にテレワークを導入した企業が多く、慣れていない、体制が整っていないという企業も存在します。今後、テレワーク実施比率の変化と合わせて、テレワーク環境下で働く人の意識変化についても注視することで、様々な環境で健康的に働ける社会実現に繋がるものと考えます。

【アンケート調査概要】
調査企画:P&L Associates合同会社
調査期間:2021年4月
調査方法:インターネット調査 有効回答:334名

回答者属性

P&Lは、企業と従業員のウェルビーイングを重視した人事サポートやHRテックを提供します

コロナ禍は社会構造の変化を加速させ、政府が推進する働き方や雇用制度の改革との相乗効果により、企業はニューノーマルへの対応を迫られています。同時に、就業者を取り巻く環境も公私ともに変化しており、企業のチームマネジメントや従業員エンゲージメント策は、今後より複雑化が予測されます。これらを鑑み、当社は「一人ひとりにフォーカスした人事の仕組」が必要と考え、個人のコンディション変化を早期発見・把握できるサービスを開発。ワンクリックで感覚的に回答できるメンタルヘルス可視化ツール「Weekare(ウィーケア)」を企業向けに提供しています。当社は、企業経営における組織運営や労務管理といった「人」に関する課題解決の専門集団として、誰もが働きやすく、健全に活躍できるWell-being(ウェルビーイング)な社会づくりに貢献します。

Weekare について:https://weekare.jp/

P&L Associates 合同会社 代表 斉藤 正樹

早稲田大学卒。メーカー営業や人材紹介企業を経て、2014年にPole&Line合同会社を設立。IT・ヘルスケア領域を得意とする人材エージェント、人事コンサルティングを提供し、国内大手のIT開発拠点やグローバル採用プロジェクトなどを手掛ける。2019年、人事コンサルティング事業とHRテック事業の本格展開を目的にP&L Associates合同会社を新設。2021年4月より内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室にて民間人材として採用されデジタル庁の創設に携わる。

HRテック事業責任者 高橋 敬太郎

慶應義塾大学卒。新卒で都銀に入社後、人事業務に興味を持ち人事コンサルに転身。2007年に事業会社で人事担当として着任。その後、外資系金融企業、IT企業、Fintech系企業で10年以上に渡り人事マネジメントに携わる。専門領域は、人事企画(制度・報酬)、労務管理。 リアルな人事経験に基づいたHRテック事業により、企業成長に向けた組織課題の解決と、人的資源のパフォーマンス向上を実現します。